2009/11/28
ラダー型オーディオケーブル インプレッション

最近話題のマルチョウ・エンジニアリングさんから試聴機をお借りすることができました。
このケーブルについてはえるえむさんほか、皆さんレビューを書いていらっしゃいます。きみぞうさんはブログで詳しく構造の説明を書いていらっしゃいました。
わがままをお願いして大量にお借りすることができました。マルチョウさん、ありがとうございます。
お借りしたのは、
・XLR
・デジタルBNC
・デジタルRCA
ブログでの紹介の許可もいただいたので、当方なりのレビューを書いてみたいと思います。
・XLR
まずは、プリ‐パワー間のケーブルとして試聴させていただくことにしました。長尺になればなるほど、被服によるケーブルの静電容量は増加する傾向にあると思われるので、本ケーブルにして是非聴いてみたいと思っていました。
交換して音出しした直後、確かに評判通りの傾向を感じました。これはまさに空気ですね。無味無臭。ベース音の分離など猛烈なものがあります。空間もかなり広がる印象。この表現と裏返しになりますが、やや重み、凄みなどはさっぱりした印象になります。短いケーブルで直結したような印象ともいえるかもしれません。分離がよくなるせいなのか、シンバルの音はやや細身に聴こえました。いつも聴いている音とどちらが本当の音かと言われれば、それは良く分かりません。
次に、CDP-プリ間に使ってみました。ここで手持ちのWireworld Silver Eclipse 5-2と比較してみました。長さの違いがあるにもかかわらず、非常に分かりやすい比較となりました。以前からWW社のケーブルは音がリッチに膨らむ傾向との解釈があったのですが、それが如実によくわかります。ラダー型の方はタイトにスリリングな音です。録音のノイズレベルが非常に良く分かる。凄まじいです。高解像度ファンの方はまさに必聴じゃないでしょうか。
・デジタルBNC、RCA
44.1kクロックケーブルとして試聴してみました。こちらもXLRケーブルと同じ傾向を感じました。非常にさっぱりとクリアです。本数を多めにお借りすることができましたので、G25S→(クロックBNC)→X-05→(デジタルRCA)→dc1.0とすべての系統をこのラダーに変えてみました。変えてゆくほどそのさっぱり傾向は強まります。最後にルビジウムクロック10MHz→G-25S間をこのラダーケーブルに変えたところ、ちょっと問題が発生してしまいました。G-25SのExtロック外れが発生。HPには100MHzまでOKとの記述が。この件について、マルチョウさんに質問したところ、お返事がいただけました。
「100mhzというのはラダーを構成している同軸ケーブルのF特性でして、ラダーそのものは基本的には平行構造です。(インピーダンスは75Ωより高くなっています)
さて、ロックがかからない・・ということ。
F特の問題ではなさそうです、ラダーは外部ノイズを遮断する能力はありませんので、何か強いノイズが入っているのか?・・・他の原因と思われます。
今までデジタル信号伝送の場合のお客様からのリポートなどロックがかからないという現象は起こっておりませんが、もしかしたらクロック出力側のレベルが少し低いのかも?・・・・インピーダンスのミスマッチングかも・・・ただこれもなんとも言えません。
あるお客様の場合、業務用のクロックジェネレータでは正常に動作してるようです。」
ケーブルそのものは200MHzまで大丈夫とのことです。私なりに原因を想像するに、そのセッティングに問題があったのではないかと思います。設置の関係上、近くに電源タップやトランスを置かざるを得ず、その放射ノイズの影響があるのだと思います。今まで数々のケーブルを同条件でテストしてきてロック外れの経験はなかったのですが(どれもシールドタイプ)、ノンシールドであるラダーにとって条件がよろしくなかったのではと思われます。ちなみに44.1KHzのワードクロックの方は全く問題なく使えていますので、当方の環境に限った現象かもしれません。(当方の環境、見た目にノイズ源の近くにBNCがあるので、確かに問題かもです)
これもストレートな音色(音色はないのかも?)に特徴があります。とくに大編成もののクラシックファンの方にお勧めかもしれません。
・最後に
個人的にはXLRケーブルをCDP-プリ間に使ったときの印象がなかなか鮮烈で、かなり魅力的です。コストダウンのために短くケーブルをお願いしようかと財布具合と検討中です。
なかなか貴重な体験をさせていただいたことに感謝いたします。一度試聴されてみると良いケーブルかもしれません。