ビンテージDENON CDPの沼 第3回(最終話)

このシリーズ、細かく書くといくらでも続きそうです。
今回最終話ということにして、ざっとまとめてしまいます。


ユニオンさんのところからジャンクとして届いたのが以下。

IMG_8356.jpeg

DCD-S10II です。

この写真は当方のメンテが終わった状態ですが、汚れはあったもののかなりの美品でした。
ヘッドホンボリュームのガリが酷いというのがジャンクの理由でしたが、ショップとしてもこの時代のモデルを修理してなんとか…とかは考えにくいということだと思います。

最初にまず音出しして、見事最近のプレーヤーにない有機的な響きを感じました。
これは何とかして良い状態にしたいという欲望が沸々と。
PCM1702という1704の一世代前、20bit DACを搭載です。
チップ内の実装密度が1704ほどシビアでないためか、こちらは不具合報告が少ないようです。

IMG_7883.jpeg

上位モデルだけあって見えないところのオシャレが凄い。印字がカッコイイです。

IMG_7885.jpeg

縦に4つ並ぶのが1702チップです。

IMG_8002.jpeg

このシリーズのDENONプレーヤーに共通するコラーゲン配合の特殊塗料。
トレイが音質に影響することを見つけたDENONが、恐らく音質比較して選んだ素材だと思います。
この個体も例に漏れず、加水分解してベタベタに。
CDの縁にベタベタがつくようなので、一気に拭き取りました。



あー、どこかあの独特なボーカルの品格、粘り感がなくなった気がする…



ここでよせば良いのに、トレイのオリジナル塗装にチャレンジすることに。
しかし塗装プロセスの試行錯誤の長い道のりを書き出すとかなりの長文になりそうなので、結論から書きます。

「難易度高。無塗装とあまり変わりませんでした」

塗りムラが何度も出来てしまい、まるで素人のプラモデル。
それを修正するのに2ヶ月ほど。仕事帰りの短い時間での対応なので随分かかりました。
そして、最終的に組み上げて出てきた音は「塗らないよりは良いようだが劇的な変化はなし」でした。
これからビンテージDENONのレストアにチャレンジされる方には絶対にお勧めしません!(笑)


そして、次なる対策はピックアップ交換です。

IMG_8018.jpeg

互換品がヤフオクやPayPayフリマなどで手に入ります。
中国製の互換品もあるようですが、音が変わるとの評判もあるので自分はSharp純正のNOS品を使用しました。

この交換についてはネット上に情報がいくつか見つかり参考にしましたが、ガセネタも存在します。

・ピックアップに付いているボリュームは右いっぱいに回しても影響がない →ウソ
  デフォルト位置で基本使うべきです。

・中国製の互換品のリンクやモデル名 →怪しいものが多い
  互換がないものを購入してしまいました。よく似ていますが、コネクターの形状が違って使えませんでした。
  2023年10月時点で、Amazon上に完全互換のものは見つかりませんでした。


交換作業自体は慎重に挑めば終わりますが、ボリューム位置をいじってしまった状態では音飛びしてCD前半すぐで停止してしまいました。
最初原因がわからず、かなり悩みました。
試しに最初の状態と思われるおおよその位置にボリュームを戻し再度組み直しチャレンジしたところ、無事再生開始。

そういうことかと。
ボリュームはピックアップ出力のゲインのようです。
これがオーバーレンジとなり、再生が止まってしまっていた模様です。

まずこの状態でのサウンド傾向ですが、やはりピックアップ交換の効果はあるようです。
言葉で違いを書くのは難しいのですが、スッキリとして音の鮮度感がアップしました。


ここでちゃんとマニュアルを読んでみようという気持ちになり、ネット検索にてこのモデルのメンテナンスマニュアル(英語)を入手しました。

ネットで拾った情報と統合すると、初期のCDPのピックアップ出力のキャリブレーションにはオシロスコープが必須でマニュアル調整ですが、この時代になると自動キャリブレーションが標準となっているとのことです。
オシロスコープで確認することも可能なようでマニュアルに測定ポイントの記述はありますが、現在主流のデジタルではなくアナログタイプのオシロスコープが必要とのことです。これを準備するのも面倒なので、今回は自動キャリブレーションを信じることにしました。

そして更にマニュアルを読み進むと、キャリブレーション推奨ディスクがあるとのこと。
(以下、抜粋)
Method.jpg

「Yasuko Tomita」って富田靖子!?
完全に開発者の趣味に走っています。
これもCD番号で検索すると実物が分かりました。

これです。

IMG_9109.jpeg

聴いてみましたが、いわゆるB級テクノ歌謡でした(笑)
しかも録音が悪い。
これをまさか試聴して音決めなんかやっていないでしょうねえ。
当時少しだけ富田靖子ファンでもあったし、必要に駆られてネタ的に入手してみましたが、なんとも可笑しい。
海外のメンテ業者はこのCDをどうやって入手したのか。気になるポイントです。(やはりモーツアルトか)

ただこのディスクの盤面を目視で確認したところ、かなり反射が綺麗です。
この時代のCDって案外品質が良いのでは?


早速、マニュアルの手順に従ってキャリブレーションを行いました。
実際はマイコンがCDを読むので、録音の品質は関係ありません(笑)
結果は数値で確認できますが、どれも適正値内で特に調整の必要はありませんでした。

キャリブレーション後のサウンドですが、差は僅かであるものの更に解像感がアップしたように感じました。
ただ、あのネバネバトレイの時の魔力的なサウンドはしていないようにも…
でも、純粋に音が良いです。


最後に各種コネクター、ボリュームを清掃して全て状態良好となりました。
ヘッドホン端子は綿棒を突っ込むと真っ黒。
この個体は大きな傷や汚れがないことから大切に使われていたもののようですが、20年以上を経つとやはりこのような状態になってしまうようです。


そしてしばらく楽しんだ後、また次のオーナーの元へ去っていきました。

そんなある日、水中でブルーの光を放ちながら沈んでいくゴジラのごとく手元にまた一台…

IMG_8525.jpeg

DCD-1650AEです。
DENONのミドルクラス初のSACDプレーヤーです。
CD専用機であったDCD-1650AZの後継です。
当時の評価はニ分されていたようですが、今聴くとスタンダードな正統派サウンドで解像感が更にアップしています。
SACDになってから、CDの音がイマイチというのが通説となっており自分もそれを信じていましたが、そんなことはなく十分すぎる解像感です。
良音。いわゆる「音楽性の高い」プレーヤーと思います。

CDは問題なく再生できるものの、この個体もやはりドライブに少々問題を抱えていることが分かりました。
ボチボチまた直していきたいと思います。
このモデルくらいまでがD&M以前のもの。初号機だけに販売価格にあまり利益を載せていないと思われ、メーカーとしては辛い製品だったのかも知れません。買う側からすればコスパが高い、ということになるのでしょうか。
自分の好みに対してこのAEが予想外にマッチしたことから、やっと落ち着くことができました。

以下はおまけの情報です。

更に後継の1650REの発売中、東日本大震災が発生し工場が被災。一時生産がストップしたようです。
そして、その後D&Mが誕生しリスタート。



以上、長々と失礼しました。
またネットワークオーディオネタに戻ります。

プロフィール

freestyle

Author:freestyle
システム1号:
Sfz DST-Lacerta → Soulnote D-2 → Soulnote A-2 → B&W 804 Diamond PB
with 10M Clock

Rock (Roon) ファンレスケース換装済み


Soulnote E-1
Technics SL-1200GR
DENON DCD-1650AE
RUPERT NEVE DESIGNS RNHP


システム2号:
Intel NUC10I3FNH with Arc Linux
HQPE PC
Pioneer DJM250MkII
SONY CDP-338ESD

Sansui AU-D907F Extra
Soulnote da3.0
JBL4309

インターコネクト:
Soulnote SBC-1


デジタルインターコネクト:
QED Performance Optical
QED Reference Optical Quartz



ほか諸々



その他、自作品等


たまに自作もする人。高級機種は知らないが、オーディオ経験値はそこそこ自慢出来ると自画自賛。アクセサリーの泥沼からもなんとか這い出し現在に至る。


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