ケーブルの太さに関する考察

なんだか疲労も手伝って吠えまくってますが、たまにはお許しを。
実際これだけの辛口を書いている人もネット上に少ないですしね。

前から一度話題にしてみようと思っていたケーブルの太さについての考察です。
オーディオグレードを称するケーブルの殆どが高音質を謳い、ぶっといケーブルに豪華な装飾。数万円の予算を割いてもらうためのエクスキューズにも見えます。そういう状況もあって「太い=高音質?」的な発想が根付いてきたようにも思います。

まず、当たり前なことを整理しておくと、

1.太いと電気が多く流れる?
 繋がっている先が道路工事で使うような重機だったらそうだと思いますが、一般家庭のオーディオ程度では消費電力から考えて、その電気的なポテンシャルを使い切ることはないでしょう。

2.「100Vの電圧がかかるのだったら、見た目に太くないと不安だ」
 家庭で電気を食いそうなものといったら、掃除機やドライヤーがあります。掃除機は結構太めのケーブルを使ってますが、オーディオ用のものよりは細いです。使い終わるとケーブルがやや過熱していることがありますが、発火に至ることはないです。ドライヤーを使って部屋のブレーカーが落ちたりするのは誰もが経験することですが、そのケーブルは驚くほど細かったりしませんか?つまり、大概のオーディオ機器においては並行平型ケーブル程度の太さがあれば電気的に足りると思われます。


こうやって整理して考えてみると、その太さはいうまでもなく音質的なチューニングのためだけのもの、ということになります。じゃあ、太いと一般的にどんな音がするでしょうか。

1.中低域へバランスが下がってくる。肉付きが良くなる。比較的小型スピーカーでも量感が出ることがある。
2.上記に従って高域が控えめになってくる。
3.音の立ち上がりはやや犠牲になってくる。トランジェントと言われる部分。

いずれも静電容量の増加に伴う音質変化と思われるものです。メーカーは1の利点を生かしつつ、2,3のデメリットをフォローしようと考えるでしょう。
例えばオヤイデのケーブルを例にとると、プラグのメッキと高域にエネルギーのあるPCOCC-A線材との組み合わせで絶妙なバランスを取っているようです。パラジウム系のメッキは低音エネルギーがやや控えめになる傾向があるようなので、極太ケーブルの低音を微妙にコントロールすることが可能です。またパラジウム系は美音系で高域のエッジを丸める傾向があり、多くの人はこの傾向を好ましく感じるのだと思います。また海外極太ケーブルの場合も、それに代わる様な対策(ネットワークなど)をして低域だけになりやすいエネルギーバランスを巧妙に持ち上げていると思われます。
(しかしながら、3についてフォローできているケーブルは皆無と思われますが…)


ここで、もう一度考えてみました。
音が太く感じる要素って…何?


それはずばり「滲み」でしょう。
それを分かりやすく捉えるために、鉛筆の先端に例えてみます。滲んでいる状態とは太く丸くなっている状態とも言えます。太いだけだと細かい字が書けません。そこで多くのオーディオ用ケーブルは太く書いた鉛筆の線の中に、Hの尖った鉛筆で書いたような線で濃淡をつけようとするわけです。これはかなり巧妙なテクニックです。

それがうまくゆけば良いわけですが、音の入り口から出口までの複雑な経路においてそれを維持するのはかなり困難であり、場合によっては太い鉛筆でただただ重ね書きしているような状況にもなりかねないようです。

またもうひとつの例えとして、その鉛筆の筆圧を音のトランジェントとしても分かりやすいです。柔らかい鉛筆だと太くて濃厚な線が書ける代わりにその強弱を表現するのが難しいです。硬い鉛筆だと濃淡は出ますが、太い線が書けません。

やっぱり理想は適度な太さの鉛筆で適度な筆圧で書くこと。ただ紙(機器)の状況でどの鉛筆が最適かは変わってくると思われるので、まずはその特性を把握し、合わせて太さをコントロールする方針でゆくというのが好ましいと思えます。


至極当たり前のことですけど、見失いやすいことだと思います。そういう理屈を超越して万能を謳う商品の売り文句。その誘惑に勝つのは至難の業かも。(いや、反省)

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